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コグニティブレディネス

第47回全国中学生レスリング選手権大会が中止となりました。

新型コロナウィルスが世界中で猛威を奮っており、練習も様々なことに工夫して取り組むことが大切なのかもしれません。

 

練習は、試合でのパフォーマンスを向上させるために、体力や技術的要素、いわゆるフィジカルレディネス(体力・技術などの身体的な備え)を高めることが目的です。さらに注目したいのは、ハイパフォーマンスのアスリートには「コグニティブレディネス(久木留,2021a;久木留ほか,2021b)」も求められることがわかってきました。

コグニティブレディネスは、思考・認知などの知的な備えであり、以下の3つの要素から構成されます。

 

①セルフレギュレーション(自己調整力)

②アダプタビリティ(適応力)

③レジリエンス(持続力・耐久力)

 

(詳しくは、参考文献で示した書籍などを参照してください。)

 

 

コグニティブレディネスはアスリートの成長過程と連動することから、現場では日々のコーチングの資質向上が求められます(久木留,2021a;久木留ほか,2021b)。

子どもは、身長・体重などの体格や瞬発力などの運動能力の発育発達速度が早く、さらに思春期の心へのアプローチには十分な配慮が必要です。これらに加えて練習においては、従来のフィジカルレディネスに加え、コグニティブレディネスにも着目した指導が求められるものと考えられます。

コロナ禍で試合が中止にはなりましたが、いつか必ず現状が好転して試合が開催されることから、「準備」という意味において、コグニティブレディネスの向上にも目を向けた練習内容を考え、取り組んでいくことが重要かもしれません。

参考文献

1)久木留毅(2021)個の力を武器にする最強のチームマネジメント論,生産性出版,東京.

2)久木留毅 ・野口順子・片上絵梨子・KEGELAERS Jolan・WYLLEMAN Paul(2021)パフォーマンス向上につながる行動改善:ハイパフォーマンススポーツにおけるコグニティブレディネスに着目して,体育学研究:早期公開.