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小学生男児レスリング選手における体力・運動能力の発達特性とは?

日本トレーニング指導学会学会誌から、「身長発育からみた小学生男児レスリング選手における体力・運動能力の発達特性」と題した研究論文が発刊されました。詳細は、日本トレーニング指導学会発行の「日本トレーニング指導学会学会誌第4巻第1号」をご参照ください(※WEB上で公開されましたらリンクを紹介いたします。それまでしばらくお待ちください)。 

 

今回の研究論文は「発育発達」という視点に立ち、小学生男児レスリング選手の体力・運動能力を分析したもので、アロメトリーという少し難しい手法を用いました。

過去に、小学生期レスリング選手の体力・運動能力は学年が上がるにつれ向上し、特に、前方への瞬発力と敏捷性は、レスリングの専門的要素を含んだ体力・運動能力と強い関係にあることを明らかにしました。しかしながらこの報告は、「発育発達」という視点では論じられていませんでした。小学生期は、トレーニングをしてもしなくても体力・運動能力が向上することが周知の事実です。わかりやすく言えば、一般的に身長が伸びれば下肢が長くなり、ストライドが広くなることから、走るスピードは速くなります。このことから、身長と体力・運動能力は大きく関係していると言えます。そこで今回は「身長」を時間軸とし、アロメトリーという手法を用いて小学生男児レスリング選手の体力・運動能力を分析した報告となりました。

今回の研究で明らかになったことは、主に以下の2点に集約されます。

①前方への瞬発力、敏捷性、タックル動作の発達は似ている。

②前方への瞬発力、敏捷性、タックル動作の発達は、思春期ピークを迎える直前まで継続して発達する。

これらのことから、「小学生男児に前方への瞬発力および敏捷性向上のためには、レスリングのトレーニングに継続的に取り組むことが効果的である」ということが示唆されました。発育発達という視点から考えてもレスリングのトレーニングを続けることは、瞬発力や敏捷性向上に大きく関与している可能性が高く、さらに、他のスポーツで瞬発力と敏捷性を向上させる必要がある場合、レスリングのトレーニングが効果的であることも、この研究では示唆しています。

今回の報告は少し難しいものでしたが、今後もいろいろな視点でレスリングの価値が明らかになればと思います。